たまには宅地建物取引士らしい話もしようかと(笑)。
皆さん、こういうの見たことありますか?
ここで言う『こういうの』とは、画像真ん中あたりの矢印のプレートのことです。これは敷地の境界を表す境界プレートというものです。
敷地の境界を表すものとしては、このようなプレートの他にも、境界杭、境界鋲など色々あるのですが、いずれにせよ、境界がどこに存在しているかを表示する大切なものなんです。
ただ、世の中の境界という境界全てにこれがあるかというと、そうでもないんです。日本全土で言えば、むしろ無いケースの方が圧倒的に多いと思います。
分譲地や建物を新築したばかりの土地は有るケースが多いんですが、それ以外の農地や原野、山林などはまずないと思っていいと思います。
もちろん全てについて存在するのが理想なのは間違いないところですが、なくても困らないケースも多いですし、広大な土地に設置しようものなら測量に多額の費用がかかってしまいます。なので、その辺は必要に応じて、ということになるんですね。
但し、宅地は別です。特に宅地と宅地が接している場合、境界が明確でないとトラブルに発展する可能性があります。よくあるパターンとしては、
・フェンスや塀を設置しようとする場合
・土地を売買する場合
・建築物を建築する場合
・所有者が変わった場合
などに、問題が表面化しやすいです。
まずは、フェンスや塀を設置する場合。当たり前のことですが、フェンスや塀は厚みがありますので、その外側が境界の内側に収まっていないといけません。しかし境界はこの辺だろうと思って設置したら、その外側が相手の敷地に入り込んでいたということがあります。隣の方からすると、フェンス等の設置で境界を意識する状態になるわけですから、急にシビアになるわけです。
また、土地を売買する場合や建築計画を伴う場合はおのずと境界を明示する必要が出てくるので、隣地の方も境界を意識することになります。
あとは所有者が変わった場合。こじれやすいのは実はこのパターンでして、上記のようなケースは仲介業者や建築業者を挟むので、まだ客観的な対応ができるのですが、相続や贈与という場合には注意が必要です。親同士は口約束や暗黙の了解で何の問題もなかったものが、両者相続等が発生して、子同士が所有者になった途端に境界争いが勃発するということも珍しいことではありません。なので、現状はお互いの信頼関係で成り立っている場合でも、書面を交わして明確にしておくことが未来に対しての責任を果たす、と言えるのではないかと思います。
最後に注意点を一つ。せっかく境界が明示されていたのにフェンスや塀を建てた結果、それが見えなくなった、或いは除去されてしまった、という悲しい事象もあります。外構工事の際にはくれぐれもそういったことが起こらないよう業者さんと話しておいて下さい(ほとんどの業者さんはしっかりしていますが、中にはそういう業者さんもいますので…)。